Do you love“me”?
唾を呑み込む音が自棄に大きく聞こえ、耳につく。
「……その必要は、ないと思います」
「どうして?」
「プライベートでまで、杉本さんと関わるつもりはありませんから」
真っ直ぐ、目を逸らすことなく答えた私の心臓は、信じられないくらいバクバクと大きな音を立てていて、指が震えないよう手をギュッと握り締める。
「うーん……。好きな子にそう言われると、ちょっと辛いんだけどなぁ」
言いながらも、目の前の杉本さんは辛そうな表情なんて、全くしていない。
「帰って下さい」
私はもう一度告げて、彼を押しのけるようにエントランスに向かって歩き出した。
それなのに、後ろから腕を強い力で掴まれて……。
「逃げないでよ」
囁くように紡がれた彼の声は、まるで私の嘘を嘲笑うよう。
「俺はこんなに直球勝負してるのに、逃げるのはズルいんじゃない?」
ゆっくり振り返った私の目に映るのは、相変わらず真っ直ぐな杉本さんの瞳。
「離れてる彼に、ちょっとは危機感を持ってもらった方がいいんじゃないかなー?」
その言葉に、杉本さんの腕をバッと振りほどく。
「もういい加減にして下さい!!」
「ねぇ、佐々木さん。彼にも聞いてみようよ」
堪えきれず大きな声を出した私とは対照的に、杉本さんは、まるで諭すかのような静かな口調。
そんな彼に、私は一瞬、驚きの目を向けた。