Do you love“me”?

一体、何を聞くっていうの?

戸惑う私を見下ろす杉本さんの表情から、それを読み取ろうとしたけれど、さっぱり分からない。

逆に私の動揺を感じ取ったのか、彼はどこか勝ち誇ったような瞳のまま、静かに言葉を紡いでいく。


「彼はどうなんだろうね?」

「――え?」

「遠距離が辛くて、笑えなくなっちゃうような彼女」

「……っ」

「彼はそんな子を、重いとは思わないかな?」


――“重い”?


「佐々木さんと同世代の男だったら、そんな子は面倒だって思うヤツだっているんじゃない?」

一瞬言葉を失った。

だけど――……。

稜君はそんな人じゃない。

絶対に、そんな風に思わない。

稜君は絶対に、どうしたら私の不安を取り除けるのか――それを、一緒に考えてくれるような人だもん。


昨日までの私だったら、正直、杉本さんの一言に落ち込んで、考え込んでしまったかもしれない。

でも、稜君に力をいっぱい貰った今日の私は、もう大丈夫。


「会ってみて、そんな男じゃなかったら――俺よりイイ男だったら、俺だって諦めがつくし」

そもそも、よく考えたら、どうして彼が私にそこまで執着するのかがわからない。


「どうして私なんですか?」

理由があるのなら、それをきちんと知った上で、もう一度「杉本さんの気持ちには応えられない」と告げれば……。

もしかして諦めてくれるんじゃないかって思った。


でも、杉本さんから返って来たのは、

「俺にだって、プライドがあってさ。あそこまで靡《なび》かずに、バサッと切り捨てられたら面白くないんだよね」

耳を疑うような、そんな返事だった。

つまりは、自分のプライドの為。


目の前でクスクス笑う杉本さんに、嫌な感情を通り越して、憐れむような感情が芽生える。

この人とはきっと、恋愛の価値観というか、考え方が違うんだ。

< 253 / 397 >

この作品をシェア

pagetop