Do you love“me”?
一体、何を聞くっていうの?
戸惑う私を見下ろす杉本さんの表情から、それを読み取ろうとしたけれど、さっぱり分からない。
逆に私の動揺を感じ取ったのか、彼はどこか勝ち誇ったような瞳のまま、静かに言葉を紡いでいく。
「彼はどうなんだろうね?」
「――え?」
「遠距離が辛くて、笑えなくなっちゃうような彼女」
「……っ」
「彼はそんな子を、重いとは思わないかな?」
――“重い”?
「佐々木さんと同世代の男だったら、そんな子は面倒だって思うヤツだっているんじゃない?」
一瞬言葉を失った。
だけど――……。
稜君はそんな人じゃない。
絶対に、そんな風に思わない。
稜君は絶対に、どうしたら私の不安を取り除けるのか――それを、一緒に考えてくれるような人だもん。
昨日までの私だったら、正直、杉本さんの一言に落ち込んで、考え込んでしまったかもしれない。
でも、稜君に力をいっぱい貰った今日の私は、もう大丈夫。
「会ってみて、そんな男じゃなかったら――俺よりイイ男だったら、俺だって諦めがつくし」
そもそも、よく考えたら、どうして彼が私にそこまで執着するのかがわからない。
「どうして私なんですか?」
理由があるのなら、それをきちんと知った上で、もう一度「杉本さんの気持ちには応えられない」と告げれば……。
もしかして諦めてくれるんじゃないかって思った。
でも、杉本さんから返って来たのは、
「俺にだって、プライドがあってさ。あそこまで靡《なび》かずに、バサッと切り捨てられたら面白くないんだよね」
耳を疑うような、そんな返事だった。
つまりは、自分のプライドの為。
目の前でクスクス笑う杉本さんに、嫌な感情を通り越して、憐れむような感情が芽生える。
この人とはきっと、恋愛の価値観というか、考え方が違うんだ。