Do you love“me”?
「無理だからね!?」
「なにがー?」
「いや、えっ!?」
“なにが”って、決まってるじゃん!
そこまで露骨に表現しないといけないのかと、一人慌てふためく私に、
「声をガマンするのが無理って事?」
クスッと笑いながら囁かれた、稜君のいつもよりも低いその声。
「ち、違くて!!」
「大丈夫だよ。ちゃんとキスで口塞いでてあげるから」
「ちょっと、稜君!!」
明らかに私をからかっている稜君は、私の大きな声に「ごめんごめん」と、いつもの口調で笑った。
「それは冗談でー。ちょっと航太と話したい事あってさ」
「え?」
不意にかけられた言葉に、胸が少しザワつく。
「で、俺が頼んで、一日だけ泊まってもらう事にしたんだ」
「そう……なんだ」
「うん。だから、俺の都合で二人きりの時間を潰しちゃって“申し訳ない”って事! 怒ってる?」
「あ、ううん! まさかっ!」
私の一瞬の沈黙の意味を取り違えた稜君が、ちょっと気まずそうに訊ねるから、ハッとして言葉を返す。
私がつい沈黙してしまったのは、稜君の“航太君と話したい事”が、妙に気になってしまったから。
その言葉を聞いた瞬間、嫌な音を立てた心臓は、未だに何か突っかかっているみたいに不規則な鼓動を続けている。
それが何か、今聞きたいのに、聞いてはいけない気がして……。
「そっか! それなら良かったー。その他の三日間は、二人でいようね」
「うん」
私は、動揺を隠すように小さく頷いた。