Do you love“me”?

「美青ちゃんと一緒にマンションで待っててね! 練習終わったら、航太と一緒に速攻で帰るからっ!!」

「うん! 本当に楽しみだなぁー!」

その時の事を考えると、今からもうワクワクし過ぎて、仕事中も頬が緩んでしまって……。

実はここ最近、いつもユメちゃんに「佐々木さん、怪しいですよ!!」なんて、突っ込まれている。

「あー……でもねー、ちょっとだけ申し訳ないお知らせが」

そんな私のワクワクをよそに、稜君の口から聞こえたのは、溜め息交じりのそんな言葉。


「な、なに?」

思わず身構えてしまった私に、稜君は“残念なお知らせ”とやらを話し始めた。


「さっき航太と、ちょっと電話で話してさ」

「航太君?」

「うん。で、試合の当日だけ、航太と美青ちゃんも一緒にマンションに泊まる事に」

「そうなの!? おねぇーから何も連絡きてないよ!?」

いつもだったらすぐに連絡して来そうなのに、昨日メールでやり取りをした時点で、彼女は何も言っていなかった。


「ホントにさっき連絡したばっかりだから、まだ美青ちゃんも知らないかもー」

「そっか。いいじゃん、いいじゃん! 楽しそう!」

久々におねぇーとたくさん話が出来ると思った私は、何を話そうかと早くもウキウキしはじめる。

でも、稜君のさっきの言葉を思い出して小さく首を傾げた。


「それが何で“申し訳ない”なの?」

意味がわからないでいる私に、稜君はちょっといじけたような、悲しそうな声を上げる。


「だって、二人の時間減っちゃうじゃん」

「まぁ、そうだけど」

「イチャイチャ出来ないじゃん」

「えっ!?」

「まぁ、いっか!」

「ん!?」

「声が聞こえないようにすれば――……」

「ちょ、稜君!!」

“イチャイチャ出来ない”という発言を聞いた時点で赤面した私に、更に追い討ちをかけるように発せられた言葉。

< 279 / 397 >

この作品をシェア

pagetop