Do you love“me”?

その場に取り残された私は、何だかもうイライラでいっぱい。

いや、あのダメ男が帰ってくれて良かったんだけどさ。

だけど、イライライライラ。


――そして。

「なに!? あの男!!」

我慢できずに、思いっきり暴言を吐いてしまった。


「えっ!?」

「何なんですか!? あの男っ!! マジでムカつく!!」

「えぇっ!?」

「ネックレス!!」

「えっ!?」

「“彼氏から貰った”って言ったのに、あいつ“同じもの買うからいいだろう”的な発言したよ!?」

「うわぁ……」

「しかも、関係ない稜君に私を押しつけて、勝手に帰るって……!! それって、人としてどうなの!?」

驚いて目を丸くする稜君の目の前で、思いっ切り怒りを爆発させた私だったけど、次の瞬間、ハッとしてガバッと頭を下げた。


「えっ!? 美月さん!?」

「あ、あの、ごめんなさいっ!! あと……ありがとうございます!!」

「えぇっ!?」

そう。

ハッとした私は、稜君にまず何をすべきか――やっと思い出したんだ。


まずは謝って、お礼をしないと!!

あんなバカ男の事なんて、二の次でいいのに!!

そう思った私が急に頭を下げたから、目の前の稜君は大そう混乱した様子で。


「えっと……。関係ないのに、こんな事に巻き込んで」

「あー、なるほどー!」

「それに、こんな所まで来てもらって。本当にごめんなさい」

改めてもう一度頭を下げると、頭上から“ぷっ”と、噴き出すような音が聞こえて、

「あはははははっ!!」

何がそんなにおかしいのか、稜君がお腹を抱えて大笑いし始めたんだ。
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