バーチャル歴史的愛情故事
美濃は呆気にとられていた。
こんな時代でも同性愛ってあるんだと。
「でも謙信さんと光秀さん、すっごくお似合いだったなぁ…」
ふと、美濃と政宗はお似合いかどうかを思い浮かべてみた。
「………………無理だよぉ」
驚くほど似合わない。
ましてやあんな戦好きな政宗と美濃が結婚するなんて、考えもつかないほどだ。
「政宗さんは何を考えてるんだろう」
気分が沈むばかりのまま、美濃は城の中を歩き続けた。
そしていわゆる中庭だろうか、白く細かい砂利を敷き詰めた地面の真ん中に鯉が泳ぐ大きな池がある。
それを見つめるようにして縁側に肩膝を立てて何か考え事をしているような雰囲気で座っている政宗を見つけた。
「美濃、散歩は終わったのか?」
「あ、はい…なんとなく」
「そうか。今夜はお前を連れてきた証に宴を開くそうだ。お前も来るだろう?」
「宴…ですか」
「皆、お前に会いたがっている」
「…………………」
政宗は一体、美濃をどのような女性として周りに伝えていたのだろうか。
美濃はそればかり気になった。
「着替えは用意してある」
「着替え?」
「俺の部屋の布団の枕元に置いてある。あとでそれに着替えるといい」
「…はい…」
言われるがまま、美濃は従うことにした。
着替えとは、一体どんなものなのか。