僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?

「あっ、そろそろお風呂沸いたと思いますよ。弘美さん、お先にどうぞ」

僕は弘美さんの話に胸を打たれながら、まるで興味がないと言わんばかりに聞き流すふりをした。

「あたしは、寝る直前に入るのが好きだから、君、先でいいよ」

弘美さんは、穏やかな口調ながら、固く強張った表情を崩さない。

弘美さんは、娘の好美さんが来る度に、いつも捨てられたことを思い出す。

思い出して、一層、寂しい思いに沈むんだ。

「そうですか、じゃ、お言葉に甘えて」

僕は今朝、弘美さんから与えられた自室へ、着替えを取りに上がった。

僕の部屋は二階の階段上がってすぐの部屋。

弘美さんの亡くなったお父様の書斎だった部屋だ。

丁度、机や本箱もあるし、仮眠用のソファベットも置いてあった。
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