僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「ごめんね、孝幸くん。礼儀知らずな娘で」
「いえ、なんか、弘美さんにそっくりで、弘美さんの若い頃って、あんなんだったのかなって」
「あら、あたしはあんなにチャラチャラしてなかったわよ。
好美は顔はあたしに似てるけど、性格は全然違う。
あの子はほんと、女の子を絵に描いたよう。あたしも、あんな風に可愛げがあったらなって思うわ」
「僕は弘美さんみたいに芯の強い女性に惹かれます。人間的な魅力っていうのかな」
僕の言葉に、弘美さんが少しだけ頬を赤らめた。
「女はね、あれくらい自分に正直な方が幸せになれるのよ。
あの子はね、あたし達が離婚する時、父親についたの。ショックだった。
当然のことのように、あたしと一緒に家を出てくれると思ってたの。だから、この家も、あの子の為に手を入れた。
この居間とキッチン、お風呂に、二階の好美の部屋。
あの子がよく触れる場所くらいは綺麗にしてあげたかったから。
だって、今までの暮らしに比べたら、この家でのあたしとの暮らしなんて、あの子にとっては色あせたつまらないものだってわかってたから。
まぁ、そう考えた時点で、あの子がついて来ないってわかってたのかもしれないけどね」
そう呟いた弘美さんは、今にも泣きそうに見えたんだ。