僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「ちょっと待ってて」
いきなり駅構内で足を止めた彼女は、明るくネオンで照らされたみやげ物ブースへと吸い込まれていった。
残された僕は、菓子の甘い匂いに食欲を刺激され、ごくりと唾を飲み込んだ。
(食べたい)
それが、今僕に感じることのできる唯一の感情だった。
飢えとは本当に恐ろしい。
目の前にある、食べ物のひとつでも鷲づかみにして、走って逃げたい衝動に駆られた。
だが、逃げ切れるだろうか?
いや、今のこの僕の体力では、走ることさえ無理に違いない。
そんな無駄な思考が諦めに変わったころ、彼女の姿が目の前に現れた。
「お待たせ」
彼女は手に紙袋を携えていた。
「列車の中で食べるものも買ったから」
彼女は、僕の定まらない視点の理由を悟ったように言葉を付け足した。
「キャラメル」
僕は、やっとのことでその一言を口にした。
「すいません……、あの……、キャラメルをもう一ついただけないでしょうか?」