僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
僕は車両の一番端に身を潜め、停車駅に着くたびに乗り降りする人の波をやり過ごした。
なるべく目立たないように、俯いて。
息をひそめた。
「終点よ」
肩を小さく叩かれて気がついた。
目を上げると、彼女がそこに立っていた。
「大丈夫?気分悪いの?」
「いや、そういうわけじゃ……」
僕は言葉に詰まった。
本当はここに立っていることだって恥ずかしい。
自分がもう社会からは見捨てられた、役立たずのゴミのように感じていたのだ。
「じゃ、行くわよ」
そんな僕の気弱な気持など、見て見ぬ振りを決め込んで、彼女が僕の先を歩きだした。
嗚呼こうなったら、彼女の後を追うしかない。
歩き出した僕は、もう恥ずかしい気持ちは何処かへ吹き飛んでいた。
ただ、彼女の姿を見失わないよう追うことしか頭になかった。
ふらつく足元を気にかけながら、人とぶつからないように必死に歩いた。
僕の意識は、それで手一杯だったのだ。