僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「ねぇ、そのロッカーの鍵は?」
「ここに……」
僕はゆっくりと立ち上がるとスラックスのポケットから、ロッカーの鍵を取り出した。
「その荷物、あたしが預かっておいてあげる」
「えっ?」
「だって、今更取りには戻れないし。
あたしがもっと早くにあなたに荷物のことについて尋ねていれば、どうにかなった話かもしれないし。
だから、はい、鍵、渡して」
彼女はそう言いながら、真っ直ぐに手を差し出して、僕に鍵をわたすよう要求した。
「いいえ、これ以上、あなたに迷惑をかけるわけにはいきません。あなたに助けて貰わなかったら、僕は、間違いなく今頃、空腹で行き倒れていたと思います。
だから……、あなたは、僕の命の恩人です。
これ以上迷惑をかけたら罰が当たります……」
そう言った僕の声は、震えていただろうか。
僕は、渡してなるものかと、ぎゅっと掌に鍵を握り締めた。