僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「正博さんが、あなたの元に戻ろうとした気持ちが、なんとなくわかります」
東条円香は、そう言って複雑な表情で笑った。
「これからは、あなたが彼の戻る場所になってもらわないとね。
あたしは、もう、別の人生を歩み出してしまったから」
歩みだした人生。
今はただ、夫々が信じる道を進むしかないのだ。
命ある限り、ただひたすらに。
幸せは人それぞれ。
巡り合わせの結果でしかない。
(こんな風に思えるのも、君のお陰かな……)
『それが弘美さんでしょ』
私の中には、そう言って笑う彼がいて。
彼に巡り会った幸せを、私はゆっくりと噛みしめていた。