僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?

父が、東京に出稼ぎに出たきり春になっても戻らなかったから。

俗にいう、蒸発。

それは僕が中学二年の時だった。

その理由は今もってわからない。

父は、無口で、喜怒哀楽を家族にさえめったに見せない人だったから。

誰にも、彼の事情を思い図ることさえできなかった。

僕の中の父は、終始無言で。

僕は父と話をしたとか、何処かへ出かけたとかという思い出が全くない。

思いだされるのは、父の黙々と働く後姿だったり、背筋を伸ばして食事をする姿だったり。

ただ、父と母と僕と、家族三人で過ごしたそんな穏やかな日々が、今となっては懐かしい。
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