僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
両親は、初夏から秋にかけ、大曲で農業を営んでいた。
営むといっても自分の土地などない。
さほど広くはない土地を地主に借りて、細々と食用菊を栽培していたのだ。
父と母は、朝早く二人並んで畑に出かけ、日暮れとともに帰ってきた。
学校が休みの日は、僕も一緒に畑に出かけ草むしりを手伝った。
昼になると、母が作った握り飯を畑の畦に家族三人並んで座って食べた。
そんな何気ない日常だけを、今更ながらしみじみと思い出す。
当然のことながら、畑の収入だけで一家三人の家計を賄うことは儘ならなかったから。
父は秋も深まる十一月になると、毎年、期間工として関東方面へと出稼ぎへ出かけていった。
春が訪れるまでの約半年、僕と母は、辺り一面真っ白な雪に覆われた大曲で、二人、身を寄せ合うようにして父の帰りを待った。
まさか、父が戻ってこないなんて、夢にも思いはしなかった。