僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
あれは大学四年の時だった。
私は商社の一般事務に就職も内定しいて、結婚する気なんてさらさらなかったし。
お遊びテニスサークルの二年先輩だった彼だって、地味で何の取り柄もない私になんて丁度飽きて来た頃で。
社会に出て知り合った、いわゆる出来る女達を眺めて、そろそろ本気で花嫁候補に的を絞ろうか、なんて考えてたはず。
だから、あの日、おきまりのセックスの後、春の人事異動の話が出て、もしかしたら転勤かもなんて彼の話しに、嗚呼、私達の関係もそろそろ終わりかなって素直に納得していたんだよね。
それが、まさかの妊娠。
別れるかもしれない彼女とのセックスに避妊を怠る彼も彼だけど。
雰囲気に呑まれて、成り行きまかせのセックスを許した私も私だけど。
当然のことの様に『中絶』の文字が頭をかすめ、あたしも覚悟を決めていた。
何でバレたんだろう?
今となっては、はっきりと思い出せない。
あの時、あたしの妊娠を知って、彼を呼びつけ、結婚を迫ったのは父だった。