君色
「・・・あ・・・やっと笑ってくれましたね」

「あ・・・」

気がつけば体の震えも止まっている。

洗面所の狭いこのスペースに二人でいても怖くない。


不思議・・・


「大丈夫ですか?」

座り込んだ私に差し出された岡田さんの手を、無意識に取る。

大きな手のひらがあったかい。

男の人の手に触れても大丈夫なんて・・・

私はいつまでたってもその手を離せずにいた。

「あの・・・具合悪いなら送っていきます」

岡田さんのその言葉にはっとして、慌てて手を離した。

「い、いえ、大丈夫です。もう少ししたら戻りますから」

そう返すと、岡田さんの大きな手のひらが私の頬を撫でた。
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