君色
その日から、岡田さんはアトリエに来た日は必ず、私を駅まで送ってくれるようになった。

岡田さんはあまりしゃべらない私の代わりにいろんな話を持ちかけてくれる。

家で飼ってるチワワがすっごくかわいいこととか

お姉さんが家でもお菓子作りをするからケーキはもう食べたくないこととか

岡田さんのイメージからは想像つかない話ばかりで私は自然と笑顔になっていた。

私たちの口調も自然と敬語から慣れしたんだ言葉に変わって行く。

そして、今日はずいぶんと早い時間に仕事が終わり、そのまま駅まで一緒に歩いてきた。

「・・・じゃあ、また・・・」

私がそういって階段を上ろうとすると、後ろ手に腕を掴まれた。

「え・・・」

「・・・もう少しだけ、時間をくれないか?」

・・・なんだろう?

家に帰っても特に用事はなかったので、私は岡田さんと一緒に近くの喫茶店に入った。
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