君色
「あの・・・少しあがって、いきませんか?」

私はタクシーの中でずっと考えていた。

この人に隠しごとをしたらだめ。

ちゃんと向き合って、克服して、それで・・・

「・・・いいのか?」

遠慮している岡田さんを部屋に招き入れると、私はキッチンでお茶の用意を始めた。

「・・・すぐ帰るから」

そう言うけど、お客様にお茶を出さないわけにはいかない。

お茶を持ってリビングに行くと、岡田さんは所在なさげに立ちすくんでいた。

「あ、どうぞ」

そう言って、クッションを差し出すと岡田さんはテーブルの右側に腰を下ろした。
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