君色
「伊織さん・・・」

私は我慢できなくなって、思わず名前を呼んだ。

「あ。もうこんな時間か。送っていくよ」

伊織さんはそんな私の気持ちを無視するように、壁の時計を見上げるとソファーから立ち上がった。


あ・・・


帰りたくない・・・


そう思った瞬間、自然と体が動き出していた。

「真秀・・・?」

私は立ち上がった、伊織さんの胸に飛びついた。

この気持ちがそのまま伊織さんに届くようにと、背中に手をまわしその手に力を入れる。
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