君色
「本当に、いいの?」

そう言って照れたような困ったような顔で覗き込む伊織さんの唇が近づいてくる。

私はただ黙って、目を閉じた。

まるで壊れ物に触るように、ゆっくりと優しく重なる唇。

私はもう前のように震えたりしなかった。

伊織さんはそれを確かめるように、だんだんとキスの角度を深めていく。

「真秀・・・怖くなったら俺の名前を呼んで。そんなに経験豊富なわけじゃないけど絶対優しくする。怖がることはしないから」

伊織さんは言葉の最後に軽いキスを落とすと、そのまま私を抱き上げ窓とカーテンを閉めた。

ゆっくりとベットの上におろされると、再びキスの雨が降ってくる。

その優しさが、ぎゅーっと私の胸を締め付ける。
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