君色
「・・・満月だ」

窓の外に目をやると大きな満月がこの静かな夜を見守るように輝いている。

伊織さんが窓を全開にしてその前に座ったので、私も真似してその隣に座った。

「月光浴、だな」

伊織さんはそう言って静かに目を閉じる。

私もそれにならって目を閉じて、全身で月明かりを浴びた。

すーっと何かが入ってくるような感覚が不思議と私の気持ちを落ち着かせる。

ゆっくりと目を開けると、いつのまにか伊織さんが私のほうをじっと見つめていた。

「本当に・・・きれいだな・・・真秀は・・・」

伊織さんの手が私の頬を撫で、最後に唇をなぞった。

「こんな気持ち初めてだ」

私たちはまるで吸い寄せられるように体を寄せ合った。
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