Primo Amore(初恋)
「実夏ちゃん・・・」

就職が決まるまではってずっと言ってた慧くん。

先日無事東京の広告代理店に就職が決まって明日は二人でお祝いしようねって約束してた。

だから・・・もう、いいんだよね?

我慢しなくても、いいんだよね?


私は慧くんに回した腕の力を少しだけ強める。

「・・・実夏ちゃん・・・」

慧くんは振り向いて私の肩を抱くようにして、少し身体を離した。

「だめだよ・・・」

そう言いながら慧くんは私の手を引いてベットの端に座らせると、どこからかドライヤーを持ってきて私の髪を乾かし始めた。

慧くんの骨ばった細い指がくるくると髪を巻きながら乾かしていく。

それだけなのに、私の胸の鼓動はますます速まっていった。

ドライヤーの音が止まると、私はたまらなくなって慧くんのほうに振り向いた。
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