さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
「見学だけでも来てみなよ。」
「…わかりました。」
あまり気は進まないけど。
剣術を鍛えるってことは、私も戦に出ることになるかもしれないってことだよね。
握っていた手をそっと開く。
またこの手で人を殺す。
・・・私には出来ない。
沖田さんには申し訳ないけれどこの話には乗らないことにした。
そうこう話しているうちに、屯所のところまで帰ってきた。
「沖田さん、今日はありがとうございました。」
「色々あったけど、俺も楽しかったよ。いい息抜きになった。」
にっこりと微笑んで私たちは別れた。
この日が本当の始まりだったのかもしれない。
このとき剣を抜かなかったら?
あの男の子と関わらなかったら?
何度も、そう思った。