さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―


「それにしても、剣が使えるなんて思ってなかったよ。どこで身につけたんだ?あんな綺麗な振り方そう簡単に出来るものじゃない。」


   


沖田さんは感心した様子で、素振りをし始めた。






「私、未来にいたとき剣道をやっていたんです。」





「剣道?」





「刀の代わりに竹刀を振るんです。人を殺すためではなく、趣味でやるんですけど。」





小学1年生のころから翼と一緒に通っていた剣道が、こんなところで役に立つなんて思ってもみなかった。




それでも、やっていてよかったなぁと思う。

 



「そうだ。あずも稽古に出てみないかい?」





稽古。




壬生浪士の人たちが毎日行っている剣の鍛錬。





凄い厳しいって隊士さんたちが言っているのを耳にしたことがある。




土方さんが鬼のようだって。




考えただけでゾッとする。




「ちょっと考えてみます…。」




すぐにはい、とは答えられなかった。
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