さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
「あずは、帰りたいの?」
――――ドキン
どうして。
どうしてそんな悲しい顔をするんですか?
期待してしまう。
「わ、私は…」
帰りたくなんか…
「帰りたく、ない。」
言ってしまった。
口に出して、初めて。
「…良かった。」
沖田さんはほっとした、とでもいう様にその場にしゃがみこんでしまった。
“良かった”
その言葉に涙が出る。
私がここに残ると言ったことを、良かったと。
確かにそう言ってくれた。
この時代で生きることを認めてもらった気がした。