さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―

「…じゃあ、私あっちに行きたい。」




ここでどこでもいいなんて言ったら、場の空気がシラケてしまうと思って適当な方向を指さす。




そんな私をみて翼は嬉しそうに口角を上げているけど。




そんなに嬉しそうにされると、なんだか申し訳ないな…。




苦笑いしている私と対照的に、キラキラした表情で翼は口を開いた。




「このお寺だけはずっと回りたかったんだ。」




新選組ゆかりのお寺。




壬生(みぶ)寺。




そっと見上げると、堂々と建つ古びたお寺が歴史を物語っていた。


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