さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―


「お前ら、もう部屋に戻れ。」





お前、なんて初めて言われたから胸が痛む。





沖田さんの剣幕に圧されて、私たちは部屋から出た。





「すまなかったな…。」





「いえ…。」





烝は予想外にも私に頭を下げた。





私に謝ったってどうなることじゃないのに。





二人で部屋に戻る。





もともと烝の部屋だった私の部屋。




彼がいる間は、一緒に暮らすことになる。





初めは嫌で嫌で仕方なかったけれど、今はそんな状況すら支えに感じる。





一人でいたら、あれこれ考えてしまいそうだったから。
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