Vrai Amour ~咲子の場合~
先日、突然挨拶させられた人・・・


名前は、なんて言ったかしら・・・・


でも、確かいい家柄の方だったはず。



咲子は、ぼんやりと紹介された男性を思い浮かべた。


顔なんて覚えていない。


なんとなく、優しそうな人だなっていうくらいの印象しか残っていない。


あの時はただ近くに来たついでだからって・・・そう、言われた。




でも、今になってみると何か違和感を感じていた。




いつか言われるだろうとは薄々感じていた。


桐島家には子供が一人しかいない。


しかも、私は女だ。


私が外にお嫁に行ってしまえば、桐島の血は途絶えてしまう。
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