Vrai Amour ~咲子の場合~
「ごめん、なさい・・・」
そう言いながら、涙が零れ落ちた。
朝比奈は自分の涙がこぼれるのも気にせずに、胸元のスカーフで私の頬を拭った。
「何を謝られるのですか」
その微笑みにあの頃の想いが一気に蘇ってくる。
やっぱり、駿が好き・・・・
私は点滴の針が刺さったままの腕を伸ばし、朝比奈の頬を指先で拭った。
こうして触れるのさえ、ひさしぶりすぎて緊張してしまい、少し震えた。