Vrai Amour ~斗真の場合~


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すると、突然ほとんど鳴ることのない携帯が鳴り始めた。

引越しと同時に番号も変えたので、知っているのはごくわずかな人間だけだ。


「もしもし・・・」


番号も確かめず、携帯を耳に当てる。

『先生、いるんでしょ?ドア、開けてくれない?』

その声に全身に悪寒が駆け巡る。

『ね、開けてくれないと大声出しちゃうよ?いいの?』

脅迫じみた言葉に俺はしぶしぶ布団から抜け出した。




会いたくない。


もう忘れてしまいたい。



そう思っても、有絵のことを思うと必ず浮かんできてしまう。




ケリをつけなければいけないのだ。






そう思いながら、玄関のチェーンをはずした。
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