Vrai Amour ~斗真の場合~
「ひさしぶり、先生」


ドアを開けると、俯いているみちるがいた。

「とにかく入れ」

玄関の内側にみちるを引っ張り込むと、ゆっくりとみちるに背を向けた。





直接顔なんか見られない。

こいつのせいで有絵は・・・・



そう思うと、沸々と腹の奥が煮えたぎってくるようだった。







「奥さんのこと、ごめんなさい」



背中から聞こえてくる小さな声に耳を疑う。






ごめんなさい・・・?



いまさら?






俺は振り向いてみちるの腕を掴むと、そのままキッチンの床の上に押し倒した。

暖房器具のないキッチンは心底冷え切っていて、床はまるで氷のようだった。
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