漆黒の黒般若
「お兄さん、寄ってきなよ〜」


「いらっしゃぁい。緋椈屋の女は皆べっぴんだよぉ〜」


門の中に入ったらそこは別世界だった


あちらこちらに遊廓がならび、檻のような所から男に色目を使っている


この一帯だけ街が赤く色付いていた


「いいですか?私から絶対に離れないでくださいね」

「は、はい」


隣から耳打ちされて楠葉はハッと我にかえった


自分でも気づかないうちに独特の雰囲気にのまれていたことに気付き、少し怖くなった


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