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「お前が投げたおかげで、形は少しいびつだよ」


意地悪く笑う雄大。

少しため息をこぼす。


すっかり忘れてた、ケーキがあることに。

コンビニでなんにも買ってこなくてよかった。


「…そのケーキのおかげでさ、昨日お前のこと探しに行ったんだよ」


「え…?」


「コンビニに行くって言ってただろ?
 でもさ、ケーキがあるからおかしいなって。」


そんなことまで考えてたんだ。


雄大ならきっと、あたしが出てすぐ出れば追い付けるだろうし。

そこに時間差ができたんだ。


「でも、なんでそれごときで?」

「だからさ、お前が危険かもと思ったんだよ」


あたしのため?


あのときから時間はだいぶたつ。


だけど、ちゃんと雄大は考えてたんだね。


だからあたしは、昨日やられずにすんだんだ。


でも、


「事情を話してくれればよかったのに…」


なんてすこしだけすねてみる。





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