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「香織、あのさ…」
重苦しい雰囲気の中、雄大が口を開いた。
「俺達、別れよう」
「え……」
「いや、正確には付き合ってなかったことにしよう
悪かったな、巻き込んで」
ポン、と頭を撫でられ、自室へ戻った。
なにを言い出すかと思えば…。
そんなことを今さら。
あたし…。
「なによそれ、」
勝手に付き合って、勝手に別れて。
どれだけあたしの気持ちを乱すのよ。
なんとも言えないそんな気持ちが、喉から溢れそうになる。
だけど臆病なあたしは、彼の部屋に殴り込みにいくことなんてできない。
雄大はあたしのことなん好きじゃない。
そう突きつけられた現実は、あたしは上手く飲み込めなくて。
バン、と乱暴にドアを閉めてすぐに眠りについた。
明後日には、あたしはこの家を出ていく。