イジワル先輩の甘い恋の魔法
「なぁ、高原?」
どれくらい泣き続けたんだろ……。
だいぶ落ち着いてきた頃、黒崎先輩が声をかけてきた。
「何ですか?」
私は顔を上げて黒崎先輩を見たけど、恥ずかしくなって、すぐに目を逸らした。
「お前さぁ、もう仕事辞めろ」
「えっ?」
「あんなことされてまで無理して続ける必要ねぇだろ?」
「でも、前に話したように……」
働かないと生活がしていけないことは前に話したはず。
それと実家に帰れないことも。
「わかってるよ。働かなきゃ生活していけねぇことも、実家に帰れねぇことも」
「じゃあ、何で……」
「高原?こっち見て?」
黒崎先輩にそう言われて、逸らしていた目を黒崎先輩に戻した。
黒崎先輩に伝わるくらい私の胸はドキドキと激しく鳴っていた。