ピアノレッスン
月明かりの中、安らかな寝息を立てている亜澄を見下ろす。


初めて、同意の上で亜澄を抱いた。







嬉しくて、どうしたらいいのかわからず無我夢中で抱きしめたが・・・・


せめて、優しくできただろうか・・・






その体温に触れていると、どこか安心する。

いつもならきちんと着替えさせてやるんだが、今日はやめておく。

明日の朝、目が覚めて「夢だった」とか言われたくないからな。



お前に関しては心が狭いんだ、俺は。




「ん・・・」


俺の腕の中で小さく丸まった亜澄が愛しい。

もっとねだってしまいたい気持ちをなんとか押さえ、抱きしめると

ぎゅうっと俺に抱きついてきた。



「まさか、兄貴と間違えてないだろうな」


俺は思わず小さく笑みをもらし、そうつぶやいた。




そして月明かりから隠すように、亜澄を抱きしめたままカーテンをひいた。
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