彼女志願!
目に力を入れていたら。
「凛先生。変なことではないですよ」
穂積さんの低い声が、頭の上で響く。
「先生はご自分の世界を大事になさってますね。読者その世界に浸りたくて、先生の本を読むんです。
もちろん同じことの繰り返しでは飽きられてしまうかもしれませんが、先生の根っこの部分が変わっていなければ、どんな話を書いても、先生は先生です」
そして彼は、中指で眼鏡のフレームをつい、と持ち上げると、身を乗り出すようにしてささやいた。
「先生。なにかお手伝いできることはありませんか?」
「なにかって……でも……」
売れっ子でもない私が、そんなふうに担当編集に甘えていいものなんだろうか。
ただでさえ穂積さん、忙しいのに…。