彼女志願!

そりゃ、私の描いているお話は権威ある賞とは無縁かもしれないけど……


親孝行なんて、無理かもしれないけど……



だけど、文学はこうでなければならないなんて、思うのは私が作家という立場だからだろうか。


教科書にのるようなお話しか、小説だと名乗ってはいけないんだろうか。


たとえラブコメでも、ミステリーでも、社会問題を提起する問題作でも

何を思い、感じるのかは読者次第。

百人に一人でも、万に一人でも心に何かを残せたら、それは『物語』として成功しているんではないの?


そして作家は、どんな作品でも、自分の作品を子供のように愛しているのに

高尚な話を書かなければ、人間性まで否定されても仕方ないの?



思わずぎゅっとこぶしを握ると


「あら、萌いたの」


と、お母さんがケーキが入った箱を持ってキッチンに入ってきた。




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