彼女志願!

けれどそう思うと同時に、私の心のなかの美しいそれらを、全部、書いて残しておきたいとも思うのは作家のさが、だろうか……



「甘ったれで泣き虫で……でも意外に癇癪持ちなところも。ずっと処女だったくせに、やたら官能的で鋭いあなたの感性も、全部、全部、愛おしい……」



穂積さんは、女として、そして作家冥利につきるような、とろけるような甘い言葉を何度も繰り返し、後ろから私を抱えるように抱いて口づけを繰り返す。


優しく私の胸を撫でる穂積さんの手のひら。

柔らかく、重さを確かめるように動く。



「あ……だめですっ……」



ゾクゾクとかけあがってくる快感が怖くて

とっさに彼の手の甲をつかんだけれど


「『お前はイヤだ、イヤだ、と言うが……ここは俺を欲しがって鳴いているじゃないか……』」


先月出たばかりの新刊の、サディスティックな王子の台詞を耳元でささやかれて、くらくらする。



< 390 / 648 >

この作品をシェア

pagetop