彼女志願!

「もうやめたいですか?」

「――え?」

「仕事のときは、仕事のことしか考えられません。世間一般の恋人にはほど遠いと思いますが……」



穂積さんはくせなのか、中指で眼鏡を押し上げつつ、切れ長の目を細める。



やめるって……


じゃあ今はまだあの口約束みたいな「彼女」は有効ってこと?


なかったことじゃない、ってこと?


まずそのことに驚いた。



けれど、私がここで「はい」とうなずけば、穂積さんはさらりと「じゃあそうしましょう」って言うんだろうな。


本当は泣きたいくらいショックだけど……


こうなったらもう、私としては開き直るしかない。




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