春の頃に思いだして。
『この俺も、独りだった……』


その先は、風にまぎれて、不意に途切れた。


「じゃあ、そろそろここいらも、居心地悪くなって来たろう。一緒に行かないかい?」

『俺がか? ……まあいい、か』


獣はうっとりと目をつぶった。気がつけば殺伐とした結界は失せていた。


『全く、主には敵わん。亡霊ひとつ、簡単に浄化してしまうのだからな』


つまらぬことよ、と彼女が言った。


「だけど、少しは楽しくなってきたかねえ」


――今日もおひさまは真っ白だよ。


「こんな日は、湿っぽいのはなしだよ、木天蓼」

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