ふたつ星
横で本を読む翔さんの端正な横顔を見ていると、胸が切なく締め付けられる。
膝の上の手の甲に涙が一粒こぼれた。
静かにそっと頬の涙を拭ったが、その動きに翔さんが気付いてしまった。
「泣いてるのか?」
本から目を離さずに言う翔さんに余計に悲しくなった。
「なんでもない、です……」
「何かあったらすぐ言え」
涙を堪えている私の頭に翔さんの大きな掌が載せられる。
その途端、堰を切ったように涙が溢れだした。
「翔さんは私のこと、嫌になっちゃいましたか……?」
両手でとめどなく溢れる涙を拭いながら声を絞り出した。