アタシの人生に華が咲く
『やっぱ二日酔いだって?』
『いいや、風邪だってよ。でも、医者が帰り際に酒の空き缶の量みて、他にもアルコール依存の可能性もあるから注意してくれって言ってた』
居間を通ったときに隣接された台所に大量の空き缶や瓶を置いていたから、それを見たのだろう。
それから少しの間、沈黙が続いた。
『妊娠……じゃなかったな』
ずっと天井を見ていた私は、リョータの顔に視線をずらして言った。
『当たり前じゃん。アンタが一番わかってるでしょ。なのにあんな怒鳴りつけて』
大騒ぎになったことを、リョータに当てつけるように少し怒り気味に言うと
『わかんねーよ。まさかとは思ったけど……24時間一緒にいるわけじゃないし、もしもの可能性だってあるだろうが』
『そんなことありえないってば。絶対にない。知ってるでしょ?』
リョータには昔から結婚する気も、相手をつくる気もないと言い続けてきた。
だからちょっと面白くなかったのかなとも思った。
『まぁ、とにかくよかったな、ただの風邪で』
『うん、ありがと。あぁ、近所の人達に会うの気まずいなぁ』
『そのことなら心配ねえよ、ちゃんと報告しといたから。かなりテンション下がってたけど』