スイートルームの許婚
「Hしたのは認める…」



「・・・」



「お前を愛してる言いながらも、お前の友達の藤沢さんと関係を持った俺がそんなに許せないか?…どうして、許せない?ハッキリした理由を教えてくれ」



「それは・・・」



愛斗は顔を上げて、私の顔を一途に見つめる。



真っ直ぐに向けられた愛斗の瞳が私の僅かな表情も見逃さない。



「…由可奈…このまま、俺と離れていいのか?」



愛斗の切なげな声が、私の頑なに閉じられた扉の鍵穴に鍵を差し込む。



それは鍵穴に合わない鍵。



ガチャガチャと強引に開けようとしてくる。






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