手を伸ばせば、届く距離まで。



冷たい


『真樹くん、これ落としたよ。』


何にも感じなくなった俺の心に、温かい恋が舞い込んだ。


ふわりと笑う笑顔は、太陽そのものだった。


『あの女子超可愛いじゃん!何で佐原の名前知ってんの?』


『…さあ。話したの、初めてだけど』


いつまでも、走っていく後ろ姿を見つめていた。


そうだ―――


俺はずっと、彼氏になっても、華織の後ろ姿ばかり。



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