手を伸ばせば、届く距離まで。



奪ってやろうと、何回も思った。


だけど圭は、謙虚で、俺のことばっか気遣って…


『華織を、幸せにしてやれ』


圭の一番大切なものだと思うと、奪うにも奪えなかった。


だから、まさか圭が動き出すなんて、考えもしていなかったんだ。


「…親父、みたく…」


俺は、しない



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