手を伸ばせば、届く距離まで。



華織は笑顔を引っ込めて、真面目な顔をしている。


真樹も顔を向けた。



「身勝手なんだけど―――真樹に『別れて』って、言ったの…」



―――!?何でだ?



「…あたしは」



真樹が壁に顔を向けた。


腕をつけてこらえていたが、すぐに教室に走っていく。


涙が、ちらりと見えた。





「あたしは…―――

 圭が、好きです。ずっと、小さい時から、ずっと。」



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