手を伸ばせば、届く距離まで。



俺には…俺には何もない。


ウソで固めた友情と、退屈な学校生活。


俺には、何も。


「…そうか。だよな、うん」


真樹は、俺とは疎遠になっていくだろう。


彼女を好きだという男に、与える義理もないし。


俺はさらに…華織と遠くなるばかり。


被害妄想とも言える予測をしていると、真樹は俺の肩に手を置いた。



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