手を伸ばせば、届く距離まで。



「…知ってるか?」


「……………。」


「俺、華織に告って、一度フラれてるんだ」


…!両想いじゃ…なかったのか?


「理由は『好きな人がいる』だった。…ショックだったな」


「…好きな、人って…?」


顔を上げる。


真樹は、少し寂しそうな笑みを浮かべていた。


何で…そんな顔するんだ?


「…さあな。きっと、華織の一番近くにいる男だろうよ」



< 32 / 557 >

この作品をシェア

pagetop