生まれ変わってもキミが好き【完結】
『るいち』の香りは、煙草なんかじゃなくて。
朝はちょっと甘い、シャンプーの香り。
夜は部活でかいた、ほのかな汗の香り。
どっちもあたしは、『柏木リン』は、嫌いじゃなかった。
「いや、告げ口してもいいけどな。
……16くらいから、だったか。ちょっと荒れてた時期があってな。なんだ、もう12年も吸ってんだな」
日下先生は、自分でも驚いたように言った。
16ってことは、高校生から吸ってるんだ。
じゃあ、あたしが死んでからか。
いや、それよりも。
本当に日下先生、28才なんだ。
いまの『るいち』と、同じ年の。
鼓動が、ゆっくりと速度を上げていく。
「……スポーツとか」
「うん?」
「高校生の時、部活とか、してなかったの? スポーツとか。煙草は天敵じゃん」
「ああ……。中学まではサッカーやってたんだけどな。辞めちまったから、関係なかったんだろうな。
いまじゃ精神安定剤みたいなもんだ」
サッカー。
また、鼓動の速度がひとつ上がる。
日下先生に、『るいち』のユニフォーム姿が重なっていく。
でも、煙草を吸っていた先生と『るいち』は、どうしても重ならない。
当たりまえ、か。
だってあたしが、『柏木リン』が知ってる『るいち』は、中学2年で止まってるんだから。